深田 上 免田 岡原 須恵

ヨケマン談義11.昔懐かしふるさとの味

11-19.おたけさん万十

 先述したように、昔からのオヤツであった「いきなりダゴ」などは町おこしや活性化かに一役も二役も貢献している。
長野県の「おやき」などはその典型である。「おやき」というのは、小麦粉やソバ粉などを水でといて練り、薄くのばした皮で小豆、野菜などを包み焼いた食品である。当初は、長野県の北信地方や安曇野地方の家庭で冬季における米の代用食として作られ、お盆の仏前供物であった。それが、駅などで売られるようになり、あっという間に長野県の名産品となった。

 球磨郡にも、昔からのオヤツが町おこしに一役買っている例がある。図1は、水上村の特産お土産品となっている「おたけさん万十」である。これは、もち米と米の粉で作った外皮で、小豆の餡を包んだ焼き万十である。このオヤツは、水上村出身の南稜高校生が、最も手作りしたい食べ物に選んだものだそうである。

万十① 万十② 万十③ 万十④
図1.「おたけさん万十」と作り方

 「お嶽さん」とは、熊本の名峰、球磨の象徴山である市房山(標高1722m)を指し、水上村の人はもちろん、球磨の「おいどん達の霊峰」である。昔から信仰の山として地元住民から「御嶽(おんたけ)さん」と呼ばれ親しまれていたことが、この名前の由来である。昭和の初期までは、毎年3月16日に市房山に登り、4合目にある市房神社に参拝する「お嶽さん参り」が非常に賑わっており、その時に参拝者にふるまわれていたのが「おたけさん万十」である。
しかし、昭和初期以降はお嶽さん参りが途絶え、この万十も作られなくなっていたが、平成8年に水上村の女性が「おたけさん会」を結成し、「おたけさん万十」を復活し、今では注文に応じ切れないほどの人気商品となっているそうである。
その作り方であるが、水上村商工会女性部の方が「おたけさん万十」の作り方を水上村BATA-Oブログで次のように紹介されている。

  1)小豆は、会のメンバーで栽培した完全自家製「大納言」を使用し、ていねいに洗って
    準備する。
  2)型に、もち米と米の粉を流し込みます。配分は企業秘密だそうである。
  3)小豆の餡を乗せたツブ餡である。
  4)両面をしっかり焼き、おいしそうな匂いが漂ってきたら、焦げ目を確認しながらひっくり
    返すと完成!

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